2021年(令和3年)4月の参議院本会議で、民法と不動産登記法の改正について可決・成立しました。これにより、2024年(令和6年)を目途に相続登記が義務化されることが決定しました。
相続登記とは、土地や建物の所有者が亡くなったとき、その土地や建物の名義を亡くなった人から変更する登記のことをいいます。
登記は必要な書類を用意して、管轄の法務局でおこないます。
所有者不明土地
国土交通省によると、「所有者不明土地」は2018年(平成30年)時点で約410万ヘクタールとなっており、2040年(令和22年)には約720万ヘクタールに達する可能性があるとしています。
所有者不明土地は、「不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地」とされています。
九州地方の面積 | → | 367万ヘクタール |
所有者不明土地(2018年) | → | 410万ヘクタール |
東北地方の面積 | → | 669万ヘクタール |
所有者不明土地(2040年・推計) | → | 710万ヘクタール |
北海道本島の面積 | → | 780万ヘクタール |
すでに九州よりも大きな土地が所有者不明土地となっており、2040年(令和24年)には北海道本島に近い大きさの土地が所有者不明土地になると言われています。
所有者不明土地の問題点
所有者不明土地は、土地の所有者がわからない土地です。そのため、公共事業などで土地を取得する際の大きな妨げになっています。また、廃棄物が投棄されるなど土地が適切に管理されないことで、周辺地域へも悪影響となるケースがあります。
所有者不明土地は、土地所有者の住所が変わったのに住所変更の登記をおこなわなかったり、土地の所有者が亡くなったのに相続登記をおこなわないことで発生します。
相続登記の義務化
所有者不明土地の対策として、2024年(令和6年)を目途に相続登記が義務化されることが決定しています。
具体的には、相続があったことを知った日から3年以内に相続登記をおこなう必要があり、相続登記をおこなわず亡くなった人の名義のまま放置をしていると10万円以下の過料の対象になります。
また、3年以内に相続登記ができないときは相続人を申告しておく制度が創設されます。この制度で相続人を申告しておくことで過料は科されず、遺産分割協議をまとめてから3年以内に相続登記をおこなえばよくなります。ただこの制度の場合、申告のあと相続登記をおこなう必要があり二度手間になってしまいます。できるなら3年以内に相続登記をおこなうのがいいでしょう。
相続登記の義務化はいつから?
2021年(令和3年)4月21日の国会で民法と不動産登記法の改正について可決・成立しました。相続登記義務化については3年以内に施行されるので、2024年(令和6年)頃までの施行が予定されています。
違反するとどうなる?
相続登記をおこなわず亡くなった人の名義のまま放置をしていると10万円以下の過料の対象になります。
過料とは、国や地方公共団体などが行政上の義務違反者に金銭の支払いを求める制裁です。「あやまちりょう」とよむこともあります。
相続登記が終わっているかわからない人
相続登記が終わっているかわからない人は、不動産の登記名義がどうなっているかを登記簿謄本(登記事項証明書)で確認しましょう。登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局で取得することができます。
参考 司法書士が解説|不動産の登記簿謄本を取得する方法おとは司法書士事務所 参考 登記簿謄本の読み方②『権利部』・『共同担保目録』おとは司法書士事務所亡くなった人の名義になっているとき
不動産の登記名義を調べて、亡くなった人の名義のままになっているときは、相続登記をおこなう必要があります。
相続登記は時間が経てばたつほど難しくなると言われます。亡くなった人の名義のままになっているときは、なるべく早く相続登記を終わらせましょう。
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