住宅ローンが消える?相続があったときの『団信』手続を完全解説

債務者が亡くなったときの団信手続を完全解説だんしん?住宅ローンが免除?抵当権を抹消?

 

住宅ローンを利用している方が亡くなると、その後のローンを支払う必要が無くなる場合があります。

ここでは、 団信に加入して住宅ローンを返済していた方がお亡くなりになったとき、どういう流れでどういう手続をすればローンの返済が無くなるのかについて解説します。

おとはさん

 

団信(だんしん)ってなに?

団信(だんしん)とは

団信とは団体信用生命保険という保険の一種です。

住宅ローンを利用していた人に万が一のことがあったとき、保険会社が銀行に対し住宅ローンの残高に相当する保険金を支払ってくれる制度です。団信が適用されて住宅ローンが完済されると、以後住宅ローンを返済する必要が無くなります。

団信への加入を住宅ローンの融資の条件にしている銀行もありますが、団信への加入は強制ではありません。まず、住宅ローンを利用していた人が団信に加入していたかどうかを確認してみましょう。

おとはさん

団信に加入していたらどうなるの?

残りの住宅ローンが0円になります

団信が適用されて保険会社が住宅ローンを完済してくれると、残りの返済は無くなります

銀行の抵当権が消えます(勝手に消えないので手続が必要)

住宅ローンが無くなるので、最初に設定した銀行の抵当権は消えます。ただし登記上は、自動的に消えたり、銀行や法務局が勝手に消してくれるものではないので、自分で(司法書士に依頼して)手続をして抹消する必要があります(抵当権抹消登記)

家には住み続けることができます

家は亡くなった方(被相続人)の相続財産として遺産分割の対象となります。相続登記をして名義を変えて住み続けることができます

手続の流れ

団信で住宅ローンを完済して抵当権を抹消するまでの流れ

団信の加入状況を確認

まず最初に「住宅ローンを利用していた人が団信に加入していたか」「団信が使えるか」を確認します。

住宅ローン契約時の書類が手元にあればその書類を確認します。

書類が見つけられないときや書類をみてもよくわからないときは、銀行に直接問い合わせると確認してもらえます。

おとはさん

住宅ローンを借りたのが何年も前で当時の担当者が移動になってしまっているときは、手続をした銀行の支店に連絡をして「住宅ローンを借入している〇〇ですが、団信の件で確認したいことがあります。以前の担当者は△△さんでした。」と言うと、団信について説明できる人に取り次いでもらえます。住宅金融支援機構(住宅金融公庫)からの借入の場合も、最初の住宅ローン契約のときに窓口となった金融機関に問い合わせると確認してもらえます。

銀行で完済手続

団信が適用されるときは、住宅ローンを組んでいる銀行で保険金請求の手続を行います。

団信で住宅ローンを完済するときの手続の流れ
STEP.1
手続に必要な書類の確認
STEP.2
書類を集める

手続に必要な書類は銀行により異なります。まず、銀行に手続に必要な書類を確認し、決まった書式があるときは用意してもらいます。

例えば、住宅金融支援機構の機構団信では、団信弁済届(住宅金融支援機構の書式)や死亡証明書(住宅金融支援機構の書式)の提出が求められます。窓口となっている金融機関に連絡をして、住宅金融支援機構の書式を用紙してもらいます。

STEP.3
書式提出

書類の用意ができたら銀行へ提出します。

手続書類を銀行へ提出すると、保険会社での審査が始まります。

STEP.4
保険会社で審査
STEP.5
保険金支払い
 審査が終わると保険会社から金融機関へ支払いが行われ、住宅ローンは完済となります。
STEP.6
完済書類

住宅ローンが完済になると、銀行から完済書類を受け取ります。この書類の中に抵当権の抹消をするときに必要となる書類があるので、失くさず保管しておきましょう。

 

不動産の名義変更(相続登記)

住宅ローンを完済すると、不動産に設定されていた銀行の抵当権を抹消する手続(抵当権抹消登記)が必要になります。しかしその前に、亡くなった人(被相続人)になっている不動産の名義を、相続人に変更する必要があります(相続登記)

住宅ローンを利用していた方がお亡くなりになり、その後保険金で住宅ローンが完済になった(=抵当権も消えた)という順番です。したがって、登記上もまず先に相続登記を行った上で、抵当権抹消登記を行います。

実務上は、相続登記と抵当権抹消登記を併せて申請することが一般的です。

おとはさん

銀行の抵当権を抹消(抵当権抹消登記)

相続登記を行い、不動産の名義が相続人になると次はいよいよ抵当権の抹消登記です。銀行から受け取った完済書類の中にある書類を使って、法務局に登記申請します。

抵当権の抹消は銀行や法務局が勝手にやってくれるわけではありません。不動産を相続した人が自ら(司法書士に依頼して)行う必要があります。

おとはさん

よくある質問 Q&A

家に住み続けることができるの?

おとはさん

住み続けることができます。
家は、被相続人の相続財産として遺産分割協議をして、相続人が受け継ぎます。住宅ローンだけ団信によってなくなります

相続放棄の手続をすれば債務は無くなるんじゃないの?

おとはさん

家庭裁判所で行う相続放棄の手続を行うと、マイナスの財産もプラスの財産も相続できなくなります。
マイナスの財産(残りの住宅ローン等)を相続しなくてよくなる代わりに、プラスの財産(自宅や預貯金等々)も相続できなくなります相続放棄の手続を行うと自宅を手放す必要が出てきます。

ブラックリストに載らない?

おとはさん

大丈夫です。載りません。
あくまで保険会社の保険金で返済するという手続なので、いわゆるブラックリストとは無関係です

団信の手続に期限はあるの?

おとはさん

団信の請求は3年以内に行う必要があります。
3年もあるのかと放っておくと、毎月の引き落とし(返済)が繰り返されてしまうので、早めに銀行に連絡して団信の手続を進めましょう。

相続登記に期限はあるの?

おとはさん

相続登記に期限はありません。
しかし、相続登記をおこなわずに放っておくと、デメリットが発生する可能性があります。期限はありませんが、早めに終わらせましょう。
相続登記の期限と放置するデメリット 相続登記の期限-登記しなかった場合の6つのデメリット

抵当権抹消に期限はあるの?

おとはさん

抵当権の抹消には法律上の期限はありません。
しかし、抵当権を抹消しておかないと、外形上銀行が担保設定している状態が続くので、後に不都合が生じることがあります。また、時間が経ってから手続をおこなおうとすると、追加の書類が必要となったりして余計な手間が増えます。抵当権の抹消まで早めに終わらせておくことをおすすめします。

手続にどれくらい時間がかかるの?

おとはさん

銀行の返済手続

銀行や保険会社により異なりますが、銀行に最初に連絡をしてから数週間ほどかかるようです。

抵当権の抹消

既に銀行から書類を預かっていて相続登記も終わっていれば、法務局での数週間(早いところだと数日)です。
これから相続登記も始めるところですと、相続登記の準備でどれくらい時間がかかるかによって期間は大きく変わってきます。

実務上は、相続登記と抵当権抹消登記は併せて申請します(連件申請)。申請してからは、法務局での数週間(早いところだと数日)です。

銀行の人に悪いような気がするけど・・・?

おとはさん

確かに借入を返さなくていいとなると、申し訳ないような気もします。
しかし、銀行は保険会社から返済を受けるので損をするわけではありません。保険会社も加入者や銀行から団信の保険料を徴収しています。

団信は亡くなった方が残してくれた権利ともいえます。ぜひ活用しましょう

自分も連帯保証人になっているが払わなくてよくなるの?

おとはさん

団信で住宅ローンが完済となれば、連帯保証人は代わりに支払う必要がありません。

連帯債務やペアローンの場合は注意が必要です。これらの場合は、団信で返済しなくてよくなる範囲が異る場合があります。銀行に連絡をしたときに確認しておきましょう。

相続税の計算で不利益を受けない?

おとはさん

相続税は、プラスの財産とマイナスの財産から計算されます。

団信で返済されると、住宅ローンはマイナスの財産としては計上されず、団信での返済部分(保険金)もプラスの財産としては計上されません。

残った不動産が相続財産としてプラスの財産に計上されます

団信で返済しても不動産の名義を子供に変更できる?

おとはさん

できます。
家は、被相続人の相続財産として遺産分割協議をして、相続人が受け継ぎます。住宅ローンだけが、団信によって完済されなくなります。
遺産分割協議がまとまれば、相続人である子供が不動産を相続すること(不動産の名義を子供にすること)ができます

抵当権を抹消する手続は自分でできるの?

おとはさん

不動産の所有者であれば、登記の申請はできます。

抵当権抹消の登記申請は登記の中でもかなり簡単な手続です。不動産の名義変更(相続登記)は、抵当権抹消の登記より格段に手間がかかり難しくなります。

不動産の名義変更(相続登記)が終わっておらず、これから相続登記と抵当権抹消登記の両方を行う必要があるのであれば、まとめて司法書士に依頼をすることをおすすめします

 

必要な費用

手続に必要な主な費用は、相続登記に関する費用抵当権抹消登記に関する費用です。相続登記と抵当権抹消登記を司法書士事務所に依頼する場合、一般的な自宅の土地建物で相続人が3人位ですと実費報酬合わせて約20万円ほどの費用が掛かります。(※相続登記の費用は不動産や相続人によって大きく変わります。目安とお考え下さい。

おとはさん

相続登記に関する費用

相続登記の費用 相続登記にかかる費用の解説<3つのモデルケースの金額も解説>

抵当権抹消登記に関する費用

参考 費用について抵当権抹消登記受付サイト

最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。この記事は、おとは司法書士事務所が作成しております。

おとは司法書士事務所では、相続登記と抵当権抹消登記をまとめてご依頼いただけます

法務省のオンラインシステムを使って日本全国の不動産の相続登記をお手伝いしております。わかりやすい説明と確実な手続で皆様の手続をサポートします。

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おとはさん