不動産相続の流れを司法書士が順番に解説

不動産相続の流れを司法書士が解説

 

不動産の所有者が亡くなったけど、どういう手続が必要なの?

どういう流れで動けばいいのかな?

不動産の所有者が亡くなった後の手続について、順番に解説します。

おとはさん

不動産相続の流れ

おとはさん

不動産の所有者が亡くなると、まず最初に、「不動産を今後どうするのか」を決める必要があります。
  • 誰かが住み続ける
  • 誰も住む人がいないので売却する
  • 貸家にする
  • しばらく空き家として管理する
  • その他

方針が決まったら、不動産の名義を相続人に変更(相続登記)します。

売却や、ローンを組む(不動産を担保に銀行から借り入れをする)ときは、事前に相続登記が終わっていなければいけません。

不動産相続の流れ

「不動産を今後どうするのか」を考える

おとはさん

不動産の手続では、まず「不動産を今後どうするのか」を考えます。

相続登記の手続をしてからゆっくり考えるという方法もあります。しかし、「不動産を今後どうするのか」は、不動産の名義を誰にするのか(誰が不動産を相続するのか)に密接に関連するので、まず最初に大まかにでも方向性を決めたほうがいいですね。

<例>

  • 長男が住み続ける予定・・・長男の名義にする?
  • 売却して代金を相続人で分ける予定・・・相続人共有名義にして売却する?誰か一人の名義にして売却後のお金を分ける?
  • しばらく空き家にする予定・・・誰が責任もって管理する?

不動産を相続するということは、不動産の所有者になるということです。家を管理したり、固定資産税を支払ったりする必要が生じます。

 

不動産の名義を相続人に変更(相続登記)

おとはさん

「不動産を今後どうするのか」「誰が不動産を相続するのか」について方向性が決まったら、亡くなった人から相続する人へ不動産の名義変更です(相続登記の手続)
相続登記の流れ

相続登記は、登記の専門家である司法書士に依頼することができます。

相続登記の流れ

STEP.1
誰の名義にするのか話し合い

相続する不動産を誰の名義にするのか(誰が不動産を相続するのか)を決めます。

被相続人(亡くなった不動産の所有者)が、生前遺言書を残しており不動産を誰が相続するか明記している場合、遺言書に従って相続する人を決めることができます。

不動産の相続についての遺言書がない場合や、遺言書の内容と異なる内容で相続することに相続人全員が合意した場合、相続人の話し合いで不動産を相続する人を決めます。

「不動産を今後どうするのか」や、二次相続(今回不動産を相続する人が亡くなったときの相続)のことを考えて、誰が相続するのかを決めることをお勧めします。

おとはさん

STEP.2
手続の必要書類集め

「誰が相続するのか」相続人の間でまとまったら、いよいよ手続に必要な書類を集めます。

必要な書類の範囲は、手続の内容により異なります。

司法書士は登記の依頼を受けると、手続に必要な範囲の書類を代理で集めることができます。

司法書士に相続登記を依頼すると、書類集めから任せることができます。

おとはさん

STEP.3
手続書類作成

必要書類が集まったら法務局に提出する書類の作成です。

<主なもの>

  • (遺産分割協議で登記する場合)遺産分割協議書
  • 法定相続情報証明一覧図(又は、相続関係説明図)
  • 登記申請書

 

法定相続情報証明一覧図(又は、相続関係説明図)

登記申請の際、集めた戸籍関係の原本を法務局に提出します。提出した戸籍の原本を返してもらう(原本還付する)ためには、作成した法定相続情報証明一覧図(又は、相続関係説明図)を戸籍と一緒に法務局に提出します。

法定相続情報証明一覧図と相続関係説明図は、どちらも被相続人の相続人が誰なのかをわかるようにした書類です。戸籍の束と図を法務局に提出して登記官に認証をしてもらうと、法定相続情報証明一覧図となります。相続関係説明図は、登記官の認証がないものですが記載内容はほとんど同じです。

相続登記の申請に添付するのは、相続関係説明図でも法定相続情報証明一覧図でも問題ありません。しかし、相続登記以外にも銀行の相続手続などの予定がある方は、法定相続情報一覧図を作成することをおすすめします。

法定相続情報一覧図を司法書士が解説おとは司法書士事務所 【法定相続情報一覧図】3つのポイントを中心に司法書士が解説

 

遺産分割協議書

相続人間で遺産分割協議(話し合い)をして相続する人を決めて相続登記を行う場合、遺産分割協議書を作成して登記申請に添付します。

遺産分割協議書は、相続人全員が実印で署名捺印して印鑑証明書を添付します。

せっかく作成した遺産分割協議書でも、「どの財産(不動産)を」「誰が相続するのか」ということなどしっかり記載されていないと登記できない場合があり、注意が必要です。

おとはさん

 

登記申請書

登記の申請書を作成して法務局へ提出します。

誰が相続するのか、登録免許税がいくらか、不動産の情報等を間違いなく記載する必要があります。
提出した登記申請書に誤りがあると、「補正」や「取り下げ」という対応が必要になります。特に郵送で申請している場合は、補正等の手続が煩雑になりますので間違いのないように登記申請する必要があります。

STEP.4
登記の申請

必要書類が集まって書類が作成できたら、いよいよ登記申請です。

登記を申請する先は、不動産の所在地により異なります。東京都千代田区の不動産であれば東京法務局、那覇市の不動産であれば那覇地方法務局、札幌市の不動産であれば札幌法務局となります。

 

<書面申請>

法務局の「不動産の申請窓口」へ、登記申請書と添付書類一式を提出します。

 

<郵送申請>

登記申請は郵送でも可能です。登記申請書と添付書類一式を、レターパックや簡易書留郵便で管轄の法務局へ提出します。郵送での登記申請は、登記申請書に間違いがあったとき補正や取り下げ手続がとても大変です。提出前によく確認しましょう。

 

<オンライン申請>

その他の登記申請の方法として、法務省のオンラインシステムによる登記申請があります。全国どこの不動産でも登記申請が可能で、郵送申請のような煩雑さもありません。
しかし、オンライン申請を行うには「電子署名」や専用のソフトをインストールする必要があります。

STEP.5
登記完了

法務局に登記申請書を提出してしばらくすると登記が完了します。

どれくらいの日数がかかるかは、申請先の法務局や申請時期によって異なります。

各法務局では目安の期間を表示してくれています。

おとはさん

登記が完了したら、登記識別情報通知という不動産の権利証が発行されます。登記申請書で指定した方法で、登記識別情報通知等と提出した添付書類を受け取ります。

相続登記を司法書士事務所に依頼

司法書士事務所に相続登記を依頼すると、Step.2からStep.5まで、一通り任せることができます。「手続、大変そうだな」と感じた方は、司法書士への依頼もご検討ください。

おとは司法書士事務所でも、法務省のオンラインシステムを導入して日本全国の不動産の相続登記に対応しております

無料見積もりを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

おとはさん

 

相続登記の後

相続登記が終わると、不動産を相続した人は、売り主として不動産を売却することもできますし、不動産を担保にしたローンを組むことも可能になります。

固定資産税

固定資産税は1月1日時点での所有者が納税義務者となりますので、1月1日時点で被相続人が生きていれば、被相続人宛に支払いの請求が来ているはずです。翌年の1月1日までに手続が終わっていれば、1月1日時点での所有者が納税義務者として請求がくることになります。

誰かが住む

被相続人と同居していた人がいる場合、そのまま住み続けることが多いようです。相続登記が終わっていなくても住むことはできます。

その場合も、相続手続は早めにを終わらせておくことをお勧めします。

相続登記の期限と放置するデメリット 相続登記の期限-登記しなかった場合の6つのデメリット

配偶者居住権

一定の要件を満たした被相続人の配偶者(亡くなった人の残された夫又は妻)に、建物に居住する権利を認める法律が創設されました。(2020年4月施行)

売却

相続登記が終わり、不動産が相続人の名義になると不動産を売却することができるようになります。

「どうせ売るんだし、相続登記の手続なんて面倒なことをせずに売ってしまいたい」とも思いますが、相続登記が終わるまで不動産の売却はできません

不動産の登記記録上は、亡くなった人の名義になっているので、「亡くなってしまった人は、売れない」というイメージです。

おとはさん

貸家

貸家にした場合、特別な定めがない限り賃料は不動産の所有者(不動産を相続した人)が受け取ります。

空き家

空き家としてしばらくそっとしておくこともできます。思い出のある実家など、すぐに売却することにこともできます。思い出のある実家など、すぐに売却することに抵抗がある人など、しばらく空き家とする人も多いようです。

空き家にしておくと維持費(管理するための費用や、固定資産税)が毎年かかってきますし、長く空き家にしておくと税務上不利になる場合もあります。

おとはさん